Rider Hide の No Guts, No Glory

マイペースな人生を目指し、バイク,写真,自転車,小説などが好きで、BMW R1200GS、Vespa LX150ie、CARRERA NITRO SL、Tern Surge Pro乗りのOver還暦ライダーです。 写真展には「 Hide.Yamamoto 」のネームで出展していることが多いです

朔 立木 (著)『死亡推定時刻 』(光文社文庫) 読了

今年の2作品目 この本も昨年の仕事納めの日に書店で次は何を読もうかと探し、帯の背の部分に「冤罪ドラマの最高傑作!」という文字に惹かれて購入。

2004年に出版されているが内容に古さを感じさせず、テンポよく進んで短期間で読み終えた。 

叩けば埃が出そうな土建屋の一人娘が誘拐され、警察が身代金の受け渡しに失敗して少女は殺されたが、警察は遺留品に付いていた指紋から、無実の青年を逮捕し、無茶苦茶な取り調べで自白に追い込んでしまう。

軽い罪でも前科があれば、犯人像と多少違っていても疑うであろうということはわかるが、ここまでひどい自白を強要する刑事がいるとは思いたくないし、さらに県警本部長までもが平気で組織としてごまかしをさせることに小説だとわかっていても腹が立つ。 それ以上に腹立たしいのは最初の弁護士と控訴審の裁判官と検事、さらにはその控訴審における鑑定証人の内藤教授だな。

被害者の親も真犯人は別にいることに気がついているにも関わらず、冤罪で捕まっているものを助けようとしないし。

それに比べて控訴審の川井弁護士の素晴らしいこと。国選弁護人が自腹を切ってまでやってくれるとは信じがたいが、読んでいて「負けるなよ!」と思わず力が入った。

真犯人は比較的早い段階でもしかしたら?って思ったが、この作品はそれを見つけることが主題ではないんですよね。 

法律家である朔さんの作品を読むのは初めてだったと思うが、機会があれば他の作品も読んでみたい。