今年の17作品目 この本も先に書いた『気分はおすわりの日』と同じく、9/24にVespaででかけた際にお茶も飲める古本屋さんで見つけた1冊です。
新田次郎さんの作品を読むのは『劒岳<点の記>』以来のようなので実に10年以上ぶりだ。
さて、本書ですが明治から大正にかけて急激に発達した日立鉱山の煙害問題の実話に基づいたものですが、日立市の大煙突ってのは全く知りませんでした。
四大公害病ならば子どもの頃にもニュースなどでも取り上げられていたから知ってはいるが、この煙害問題はそれよりもずっ~と昔の話である上に大阪から遠いところの話ですからねぇ~・・・ってことにしておこう(^^; ちなみに映画化されているのはこの本のカバーで知りました。
この作品の初出誌は1968年の週刊言論で最初に文庫化されたのは1978年。本書は文庫化から40年を経た2018年に新装版として発行されたものですが、内容が古くて読みにくいなんてことはなくページが進みました。
それにしても素晴らしい話だった。きっとこんな簡単な一言では済ませられない重大な問題だったとは思うが。
そして、あの時代に当時世界一の高さである155.7mの煙突を日本人の技術で短期間で作り上げたというのはすごいですね。 個人的にはこの工事の部分をもっと詳しく読みたいところです。きっと『プロジェクトX』級だよね。 そういうのは新田 次郎さんよりも吉村 昭さんの分野ですかねぇ(^^;
ネットで調べたらこの大煙突は平成5年までそのままの姿で残っていたのには驚いた。 あの時代の鉄筋やセメントの品質は今と比べものにならないと思うし、長年の排煙によってコンクリートの中性化も進んでいたのでは?と思うが、実に80年近くそのままの姿で立っていたとは。 平成5年に下から1/3のところで倒壊したが、残っている部分は今でも使われているってこれまたビックリでした。