今年5作品目(5,6冊目)の読了。 宮本さんの本は初めて読むのかな?
例によって、書店の平積みで何となく気になって購入。
ついつい、“自転車”のキーワードに惹かれたのだろうか?(笑)
最初、富山は入善町の出身で東京に就職したが、都会の生活に疲れて故郷へ帰った脇田千春がこの話の主人公かと思ったが、そうではない? と言っても、タイトルの「田園 発港行き自転車」は千春が勧める自転車コースでもあるな。
違和感なく話が移って、絵本作家の賀川真帆の父は15年前に富山県の滑川駅で突然亡くなっていた。 父は宮崎へ出張に行っていたはずなのに・・・何故だ?と思いながらもそのままになっていた。
そして、真帆の絵本を出版する京都にあるクララ社の編集担当である寺尾多美子と富山へ行くことになり、とんとん拍子に自転車、しかもBHとビアンキのロードバイクで富山から滑川へ。そこから輪行して宇奈月温泉へのサイクリングを楽しみながらも、15年前の真相に向き合っていくことに。(乗り慣れていないロードバイクで、いきなりそんなに走れるか?って話はここでは止めておこう)
その後、千春の従弟で生まれたときには父が亡くなっていた夏目佑樹や、その母の夏目海歩子などのほか、東京・京都・富山を中心にしてどんどん登場人物が増えてくるが、それぞれが色々な繋がりがあり、真帆の父が滑川駅で亡くなった状況や、佑樹の父が誰なのかも明らかになってくる。
ネタバレになるので、ここらで話の内容は止めておくとして、下巻の終盤が近づくにつれて、偶然にもみんなが滑川に集まりだして、おぉ!これは一体どうなるんだ?とワクワクしたが、ラストシーンは・・・ えぇ〜、これで終わっちゃうの? う〜む、この先がどうなるのか、知りたいなぁ。
上下巻なので少し長めではあるものの、偶に上下巻モノで「何でこんなに話を引き延ばさなくてはならないのだ?」ってようなこともなく、素直に引き込まれて、どんどんと読み進めて行った。
解説の島本理生さんが「一見、人物相関図が必要なほどに複雑だが、それぞれの登場人物たちの自然な心の動きによって進んでいくので、気付けば物語に引き込まれて行た」と書かれているが、まさにその通りでした。
話は変わって、話の舞台の一つとなっている旧北陸街道を自転車で走ってみたくなった。 そして、できれば入善町の田園の中を走って、舟見城跡にも上がって、宇奈月温泉まで走ってみたいし、愛本橋から月も見てみたいものだ。
仕事では何度か宇奈月まで行っているが、自転車で・・・というのは思いつかなかったし(^^ゞ