今年の20作品目 今年もなんとか20作品に到達した。 この本も先日、記録に残した「黒バイ捜査隊」、「遊園地へ行こう!」と共にブックオフで見つけて購入したものです。
自分も土木屋の一人なので黒部川第三発電所建設に必要なトンネル工事を舞台にした『高熱隧道』は読んでいて、この「闇を裂く道」も以前から読みたいと思っていたんですが、古い作品なのでなかなか手に入らないだろうと思っていたが、新装刊が出ていたんですね。
少々ボリュームがある本なので通勤中だけで読み終わるのは年末ギリギリかな?なんて思っていたんですが、先日、佐賀への出張が入って新幹線に長時間乗っていたので一気にページが進んで予定よりも早く読み終えちゃいました。
さて、本書を知っている人は知っているでしょうが、私が生まれるず~っと前の大正7年から昭和9年までかかった東海道線丹那トンネルの工事が舞台です。
今とは比べものにならない土木技術で丹那トンネルを掘り進むが大規模落盤事故、大量湧水、関東大震災、北伊豆地震などに見舞われるという難工事の面だけではなく、戦争による経済面への影響やトンネルへの大量湧水によってトンネルから約160mも上にある丹那盆地で沢や川が干上がるほどの水不足となり、清水を利用したワサビ栽培や稲作ができず、副業の酪農にも大きな支障が出てきて地元住民が筵旗をもって大規模な抗議行動に出るといったことが生々しく記されている。
丹那盆地の水問題など知らなかったことが多かったが、きっと言葉で表現できないほどに大変だったのだろう。
丹那トンネルだけではなく、新幹線の新丹那トンネル工事までこの本の中で書かれているとは思っても見なかった。
私も今から20年ちょい前に某水力発電所のトンネル工事に携わったが、断面も距離も丹那トンネルには及ばないし、山は悪かったものの幸いにして大きな断層・破砕帯には遭遇せず、湧水にもそれほど苦労せずによかったなと読みながら思い出していた。
さて、これで年内の小説などは打ち止めか。 年明けから読む本を探そうっと。