今年の17作品目 荻原さんの作品を読むのは昨年の8月に直木賞受賞作の『海の見える理髪店』以来だ。
少々ネタバレになりますが、主人公は農家の長男(ただし、3人の個性豊かな姉がいる末っ子)として生まれたが、農業は継ぎたくないので東京へ出て広告代理店に勤務した後、グラフィックデザイナーとして独立した望月恵介。
代理店勤めの頃はいくつかの賞をとったりするほどだったらしいが、独立して暫くした今では開店休業状態になっている。 そんな時、父親が倒れたとの一報が。
父親はなんとか助かったが、脳梗塞の後遺症があってとても農作業ができるような体じゃない。 母親が一人でこなせる作業量じゃないので、やむなく恵介があれだけ大嫌いだった農業をしばらく手伝うことに。
決してデザイナーで食って行けなくなって田舎に戻ってきた訳ではない !! と本人は言い張り、とりあえず今年のイチゴの収穫が終わるまでのつもりが、来シーズンの苗が注文済みと知って・・・深みにハマっていく?
都会育ちの妻と息子と離れて暮らすことになるが、一体どうなる? 個性豊かな3人の姉とその家族も面白いので読んでのお楽しみ。
本当は農作業ってここに書かれた以上に大変なんでしょうね。 イチゴではないが、道の駅なので買い求める産直野菜の値段を見て、豊作の年とは言え「本当にこの値段で採算取れるのだろうか?」って思うけど、私ではとてもじゃないが無理だろうな。
話は変わって? 序盤も序盤の15ページで恵介の妻、美月が『男のプライドなんて、パイナップルの葉っぱのようなものだ。葉っぱがついていれば確かに見栄えは良い。 パイナップルらしさもアピールできる。
でも、知ってる?パイナップルの葉っぱは持ち運びには邪魔なだけだし、冷蔵庫に入れる前に切って捨てちゃうんだよ。だって食べられないから。 きれいだけど飛ぶのにはむかないオスの孔雀の羽と同じだ』って言う(言わずに堪えている)ところは、思わずキツ~ィって声出そうだった (*_*)