Rider Hide の No Guts, No Glory

自由気ままな人生を目指し、バイク,写真,自転車,小説などが好きで、BMW R1200GS、Vespa LX150ie、CARRERA NITRO SL、Tern Surge Pro乗りの還暦ライダーです。 写真展には「 Hide.Yamamoto 」のネームで出展していることが多いです

二宮 敦人(著)『最後の医者は桜を見上げて君を想う』(TO文庫) 読了

f:id:Rider_Hide:20200510092917j:plain 今年の12作品目 GW前に職場近くの古本市場で見かけ、二宮さんの本は初めて読むと思うが、背表紙のあらすじに「息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ誕生!」とあり、帯には「映画化企画進行中」とあるが、既に映画化されたかどうか知らないし、ましてや内容は知らないから読んでみようと思い購入。

 少々ネタバレもありますが、死神と呼ばれる皮膚科医の桐子は「死」を受け入れて、残された日々を大切に生きるべきと主張する。 一方、僅かな希望を捨てず、奇跡を信じて最後まで命を救うことを諦めない副医院長で天才外科医の福原。 この二人がメインだが、両極端な二人の間を何とかしようとする内科医の音山医師も含めて話が展開する。

  三章で構成されていて、第一章の「とある会社員の死」は強烈だった。 ストーリー展開が強烈という意味じゃなくて、サラリーマンの浜山は急性骨髄性白血病と診断されて即刻入院し、抗がん剤治療をした後、造血幹細胞移植を選択したがドナーが見つからず、最後の望みで臍帯血移植をしたが、急性GVHD(移植片対宿主病)が発症・悪化し、最後には・・・
 読んでいるこちらも本当に痛みを感じて顔をしかめてしまうほどのリアルな記載で、表紙のほんわかしたイメージからは全く想像できなかった。 第一章からいきなりストレートパンチを連発で食らった気がするくらいで、あらすじに書かれた「息を呑む衝撃」は確かにそのとおりだった(^^;

 第二章「とある大学生の死」は三浪医大に合格した女子大生がALS(筋萎縮性側索硬化症)であることが判明し、症状がどんどん悪化していった彼女は自らの意思で延命治療を断る。
 音山医師は桐子と福原の意見の間で悩みながらも彼女の意志を尊重し、彼女の治療に携わって「病院に必要とされる医者よりも、患者に必要とされる医者のほうが大事だ」と思うようになってきた。

 第三章「とある医者の死」は第二章のラストシーンで女子大生を看取ったあと、音山医師がタバコを吸いながら咳き込んだ記述が布石だなと思ったが、章が始まると桐子がしきりに咳き込んで音山の診察を受けることになったから、あれぇ~予想と違って亡くなるのは桐子なの? とすれば、どういう展開にするのだろう?福原が憎しみもあって徹底的に切り刻むのか?って一気に読み続けてしまった。
 最後に福原のとる行動はある意味予想できたが、たったの3人で手術できたの? いくらなんでも無理だと思うが、まぁ小説ですからよしとしますかねぇ~

 桐子、福原共に考え方は医者として間違ってはいないのだろうが、いくらなんでも両極端すぎる。もっとも、そうじゃなきゃ小説に出来ないか(笑)
 いずれにしろ、改めて「生きること」、「死ぬこと」について考えさせられる本だったが、私はどちらかと言えば桐子の意見寄りで、意識がなくなって病院のベッドの上で単なる生命体として延命するだけの治療は要らないし、第一章の浜山さんのようなとんでもない苦痛を味わいながらの治療は断りたい。できる限り自然体で死んでいきたいものだ。まぁ、その塩梅が一番難しいんだろうが。 

 新型コロナの時期に読んだのは良かったのか、読まなかった方が良いのかは微妙だったが、続編?『最後の医者は雨上がりの空に君を願う』があるらしいので、探して読んでみたい気もする。